「平安妖異伝」平岩弓枝
若き日の藤原道長と西域の血を引く天才少年楽師・秦真比呂(はたのまひろ)が、 器物に憑いた物の怪が引き起こす怪異を解明していくという連作短編集。 のちに、 此の世をば我が世とぞ思ふ 望月の虧(かけ)たる事も無しと思へば (超訳→世界は我のためにあるのさっ) なーんておバカな短歌を残す道長もまだ25歳の好青年で、身分は中納言。 相方の真比呂は15歳。その出生には謎があり、雅楽に人並みはずれた才能を持つばかりでなく、 物の怪に対して陰陽師以上の不思議な能力を持っている。 怪異をなす雅楽器と楽曲を軸に、物の怪となってしまった存在が抱え込んだ想いを綴られていく。 同じ時代背景ということもあって夢枕獏氏の『陰陽師』と世界観が似ているが、おどろしさはない。 切り口が違うと、これほど華やかで優しい小説になるのだと驚かされる。 雅楽の調べが感じられるような美しい物語だ。 *ここの本の感想は一口メモ程度。詳しい感想はreviewへどうぞ。
by sumika_meimu
| 2005-12-22 00:22
| 快楽読書小倶楽部
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