カテゴリ:快楽読書小倶楽部( 38 )

UPし忘れた一言覚書―白石さんとダーリンと黄土の旗幟

実業団駅伝を観戦しながら、HPを更新したのは元旦のこと。
アルコールが入っているから、なんとなく頼りなげに一言覚書だけです。

・一言覚書>
「生協の白石さん」白石昌則
普通なら無視してしまいそうな学生たちのふざけた質問に、誠意を持って回答する生協の白石さん。
時には商魂たくましく時には含蓄深く、真面目に答えていらっしゃるだけに面白くも、読後は心が和む。

・一言覚書*コミックス編>
「ダーリンは外国人(1-2)」小栗左多里
ハンガリーとイタリアの血を引くダーリン・トニーさんとの日々の暮らしが綴られた爆笑コミックス。
トニーさんの人柄がとてもユニークでチャーミングなことも相まって、国際結婚の日常には多くの
「?」や「!」が溢れている。
国際結婚も結局のところ個人と個人との関係で、結婚生活ってものが異文化交流みたいなもの
かもしれない。
面白いだけではなく、外国人が暮らしにくい日本の実情もちゃんとシビアに描いている。

「黄土の旗幟のもと」皇なつき
「明末清初」というややこしい時代を背景に、人々を救うためにどのように生きたらよいかと
苦悩する李信を描いている。
ただ、物語の最後に明末清初の人物達を一枚絵とともに説明しているとはいえ、
作品としては中途半端に終わっている。
登場人物はとても魅力的に描かれているし、ストーリーの骨格がしっかりしているだけに残念。
もしかしたら史実で李自成の天下取りが失敗したことを知っているためかもしれない。
義軍の旗を上げた彼も、最後は敢えなくはかなくなってしまうんだな…歴史はシビアだ。
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by sumika_meimu | 2006-01-04 19:04 | 快楽読書小倶楽部

美しい平安ファンタジーはいかが?

「平安妖異伝」平岩弓枝

若き日の藤原道長と西域の血を引く天才少年楽師・秦真比呂(はたのまひろ)が、
器物に憑いた物の怪が引き起こす怪異を解明していくという連作短編集。

のちに、
此の世をば我が世とぞ思ふ 望月の虧(かけ)たる事も無しと思へば
              (超訳→世界は我のためにあるのさっ)

なーんておバカな短歌を残す道長もまだ25歳の好青年で、身分は中納言。
相方の真比呂は15歳。その出生には謎があり、雅楽に人並みはずれた才能を持つばかりでなく、
物の怪に対して陰陽師以上の不思議な能力を持っている。
怪異をなす雅楽器と楽曲を軸に、物の怪となってしまった存在が抱え込んだ想いを綴られていく。

同じ時代背景ということもあって夢枕獏氏の『陰陽師』と世界観が似ているが、おどろしさはない。
切り口が違うと、これほど華やかで優しい小説になるのだと驚かされる。
雅楽の調べが感じられるような美しい物語だ。


*ここの本の感想は一口メモ程度。詳しい感想はreviewへどうぞ。
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by sumika_meimu | 2005-12-22 00:22 | 快楽読書小倶楽部

「探偵ガリレオ」も「予知夢」をみるか

なんだかメタメタに疲れているので、今回はちょこっとだけ~。

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「探偵ガリレオ」東野圭吾
タイトルに惚れて購入。
物理学科助教授の湯川学と草薙刑事が、5つの事件を解決していく短編小説。
謎解きよりも、一見超自然的な現象にみえる不思議な事件を、科学的、物理的な視点で
トリックを解明していく方に主眼点がある。
タイトルの探偵ガリレオとは湯川のことで、モデルは俳優の佐野史郎さんとのこと
――うん、マニアックな雰囲気がぴったりかも(笑)。

「予知夢」東野圭吾
「探偵ガリレオ」シリーズ第2弾の連作短編集。
超常現象のように思える謎が、科学者の視点からさらりと解明されている。
エンディングを小粋な雰囲気でまとめているので読後感は暖かい。


*ここの本の感想は一口メモ程度。詳しい感想はreviewへどうぞ。
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by sumika_meimu | 2005-12-17 00:20 | 快楽読書小倶楽部

強敵「鉄鼠の檻」と「えびす皇子」

私に余裕がなくて、前の更新からほぼ1ヶ月近く経ってしまいました。
でも、「鉄鼠の檻」のレビューで力尽きた気分になってしまったので、今回は2作だけ…。
読み散らかしているわりにはレビューする時間がありません。
少しずつやっつけていきますので、なま温ーく見守ってやってください(ぺこり)。


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「鉄鼠の檻」京極夏彦
3年ぶりの再読。京極堂シリーズで一番好きな作品なのに、
再読するたびにレビューに挑戦しつつ挫けてしまうのは、
濃厚な内容と、この本の分厚さに精神的に満ち足りてしまうかららしい(笑)。

さて、物語は箱根山中に隠された大伽藍が舞台となる。
今回の強敵は、京極堂がひるむほどの禅の世界だ。
京極氏の博識から噴出する饒舌な薀蓄や閑談には、いつもながら圧倒される。
そして本筋とは関係なさそうなそれらが事件の背景として巧妙に構成されている。
つまり、この作品の面白みは巧妙に張り巡らされた伏線にある。焦点はトリックではない。

冒頭の「拙僧が殺めたのだ」のインパクトも強いが、
閉ざされた山の中で修行する僧たちの超然とした姿が崩れていく様も面白い。
そして、すでに馴染みの登場人物である榎木津さんは傍若無人に一服のお笑いを振り撒き、
毎度危うい関口くんもしっかり楽しめる。

本館>快楽読書倶楽部の方では構想9年、執筆1時間(笑)、リキ入れてレビューしています。
そちらもよろしく~♪→快楽読書倶楽部>京極夏彦

「えびす皇子」高橋克彦
古事記を下敷きにした高橋氏お得意の神話系ファンタジー。
『竜の棺・シリーズ』と世界観は同じで、「神=外来説」を元にした作品。
『竜の棺・シリーズ』の仮説に圧倒された読者には物足りなさが残るが、
おそらく続編を意識していたためではないだろうか。
大国主命の国譲りなど、これからがスペクタクルになりそうな展開なのだけど…
続編の行方はいかに?


*ここの本の感想は一口メモ程度。詳しい感想はreviewへどうぞ。
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by sumika_meimu | 2005-12-08 23:58 | 快楽読書小倶楽部

クリスティ記念日

読み出したら止まらないから今月はクリスティ記念日♪

というわけで、今回はアガサ・クリスティ only。

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快楽読書倶楽部>
「茶色の服の男」
スピーディで小気味よく、トリックにも工夫がある。
冒険、旅情、ロマンスをも盛り込んで、軽快なミステリ。

「チムニーズ館の秘密」
少しばかり時代かかった設定だが、魅力的な登場人物たちもあって痛快な冒険活劇。
巧みなストーリー展開で飽きさせない。

「七つの時計」
『チムニーズ館の秘密』の姉妹編だが、内容は全然別なので単発作品として楽しめる。
クリスティならではの意外さと、作品を楽しんで書いたらしい遊び心が感じられる。
何気なく読み進めると、最後にどんでん返しが待っている。

「書斎の死体」
オーソドックスで伝統的な書斎という舞台と、奇想天外な死体、というのが条件を、
クリスティが自身に課した作品。
小さな村という閉鎖的な社会がプロットにも密接に絡んでおり、
ミス・マープルが人間心理を分析していく過程はさすが。

「バグダッドの秘密」
ロマンチックな冒険小説。
失職した翌日には公園であった青年に一目ぼれ、彼を追ってバグダッドに行ってしまうという、
おきゃんで無鉄砲なヒロインにも驚くが、1950年代にこのような物語が描かれ、
受け入れられた土壌には感心。

「フランクフルトへの乗客」
クリスティ女史の80歳を記念して書かれた作品。冒頭の前書きで、
小説のアイディアなどについて書いているのが興味深い。
なにより、高齢にして新奇なスタイルに挑戦する作者のバイタリティ、その生き様には脱帽!

*ここの本の感想は一口メモ程度。詳しい感想はreviewへどうぞ。
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by sumika_meimu | 2005-11-10 23:13 | 快楽読書小倶楽部

高村薫後遺症

学生時代に夢中になったクリスティに、時を経て再びマイブーム(笑)。

これでもかというほどに内面を描き尽くす小説も好きだけど、
妙に感性が苛立っている時には敬遠したくなる。
でも何か小説を読みたいと思う時、クリスティは安心して読めて、
気持ちが落ち着くことを発見(笑)。
これも、たて続けに読んだ高村薫後遺症ってヤツかもしれない。


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快楽読書倶楽部>
「ゼロ時間へ」アガサ・クリスティ
そのゼロ時間へ向けて計画を進めているのは誰か、が物語の中心となっているのだが、
ストーリー展開は、関係者の集合-殺人事件発生-警察の調査-犯人逮捕と、
実際にはオーソドックスな形態をとっており、クリスティのトリックは「ゼロ時間」を
読者に意識させるというタイトルそのものにあるのかもしれない。

「予告殺人」アガサ・クリスティ
いきなり新聞に載った「殺人予告」の広告。
何か面白いゲームだと思った物見高い近所の人々は予告時間に合わせてその家を訪ねる。
だが、お遊びだと思われたその運命の時間に本当の殺人が起こる。
過去のもつれた糸を、ミス・マープルが少しずつ解きほどくのが痛快。

今回あらためて感じたのは、クリスティの人の顔の描写がなんとも独特ですごく印象的。

「李歐(りおう)」高村薫
日本と大陸を股にかける、青春と恋愛を絡めた冒険大活劇・ハードボイルド風味。
端的にいえば、一彰と殺し屋の李歐とのラブストーリーである。
しかし作品の中で二人が一緒にいる時間は長くない。一彰と李歐の二人でやったことといえば、
100丁の密輸拳銃をヤクザから横取りすることくらいだ。
大陸での再会を約束して二人は別離する。
李歐と一彰は多くのものを失いつつ、それでも約束の地にたどりつくことを夢見てあがき続けるのだ。
とはいえ、二人の間にはっきりとした恋愛感情や行為の描写はない。
あくまで、そこはかとなく淫靡な関係に留まっている。


*ここの本の感想は一口メモ程度。詳しい感想はreviewへどうぞ。
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by sumika_meimu | 2005-10-19 01:44 | 快楽読書小倶楽部

宮部みゆき My Best 3

トラキチさんのブログMy Best Books!で、宮部みゆきベスト3という企画をなさっています。
面白そうなので、さっそく参加させていただきました。

宮部さんは好きな作家さんだけに、3つに絞るのは難しいですね。
ずい分悩みましたが、私のベスト3は、

1、孤宿の人
武士も市井の人々も、武家の理不尽な社会制度にがんじからめに縛られている。
翻弄されていく境遇を運命として受け入れ、平静に生きていこうと努めながらも、
それでもなお人は悩み、苦しむ。
泣くのは武士も市井の人々も同じだ。極度に気を遣うことにより起こる悲劇。
愚かしく、そしてどうにもならないむなしさに、不覚にも泣けてしまった。
読書で泣いちゃうなんて、何年ぶりだろう。主人公・ほうの健気さが救いだ。

2、ぼんくら
作者お得意の江戸・深川の鉄瓶長屋を舞台に、
その住人たちの日々平凡な暮らしの中に落ちる影と、離散してゆく顛末を描く、
市井もの連作短編集だが、やがてそれらの事件を伏線とする長編ミステリでもある。
優しくはあるが甘ったれた関係ではない長屋の人情模様と、
その向こうに浮かび上がってくる歪んだ愛憎。
謎が解きほぐされてゆくその過程でも、きちんと描かれた人情の温さが心地よい。
理屈ぬきに楽しく読める。

3、蒲生邸事件
今まさに、二・二六事件が勃発しようとしている東京が舞台。
本作の読みどころは謎解きよりも、時間旅行者としての苦悩、
そしてちょっとポンチな主人公が事件を通じて成長していく過程にある。
混迷の時代を誠実に生きた人々の消息とともに、ラストは胸を打つ。
ほんのり幸せな読後感。


宮部さんの時代物が好きなので、必然的にこういう結果になりました(笑)。
時代物が苦手な方も多いようですが、宮部さんの作品は読みやすいので、
ぜひチャレンジしてほしいな。


*ここの本の感想は一口メモ程度。詳しい感想はreview:宮部みゆき作品の部屋へどうぞ。
*宮部さんの作品は結構読んでいるのですが、
  拙サイト【CAFE☆唯我独尊】がもともとJUNE系書評サイトとして出発したため、
  一般書レビューを始める前に読了した作品はレビューしていません。
  再読するまで待って(汗)。
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by sumika_meimu | 2005-10-05 23:58 | 快楽読書小倶楽部

「マークスの山」が「照柿」に染まるとき

今さらですが、高村 薫さんにハマっている。
分厚くて読みごたえがあるのがよろしい(笑)。
ただ、高村作品を読んだ後、脳みそを使うなんて慣れないことをしたせいか、
なんだか脱力しちゃって、ほかの作家さんの本が物足りなくて…。
この緊張する読書に匹敵するのは、京極夏彦氏だろうか。
あああーっ、だから早く、

京極堂を出しておくんなまし~!
特に分厚いのを希望(笑)

中禅寺秋彦氏の憑物落としの新作が読みたいと、
しみじみ思うこの頃……もう京極堂さんの出演はないのかしらん。
分厚い本が読みたい――これも、高村薫作品の後遺症らしい。


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迷夢書架>
「マークスの山」高村薫
作家自身が「ミステリを書いたつもりはない」と書いているように、
この作品は、濃密な心理描写から浮かび上がってくる人の生き様にこそ、
主眼があるのだと思う。

合田刑事と義兄・加納氏の微妙な距離感が何となく淫靡(笑)。
なんたって、合田自身が認めてしまった。
   「どちらにしろこの男には自分の裸の心を覗かれている、
    この自分自身がそれを許している」
ね、微妙な距離でござんしょ♪

「照柿」高村薫
合田刑事、ついうっかり恋をするの巻。
人間の弱さも狡さもあからさまにされた合田刑事の壊れっぷりが凄まじい(笑)。
恋とは苦しいもの――分別のある男すら狂わせるエネルギーがあるのだな…。

今回のヒットは、紬の着流し姿の加納が亡父の霊前で合田とともに聖書を読むシーン。
――着流しに聖書……素敵♪


*ここの本の感想は一口メモ程度。詳しい感想はreview>高村薫へどうぞ。
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by sumika_meimu | 2005-10-05 00:11 | 快楽読書小倶楽部

「レディ・ジョーカー」

高村薫さんの「レディ・ジョーカー」に圧倒されたあと、
大沢在昌さんの「闇先案内人」を読んだら、
妙に戦闘的な気分になってしまった。

いかんっ。
私はまったりした気分が好きなのに。

で、次に手に取ったのは…
「傷口(KIZU) 」「殺手-ヒットマン-」篠原烏童さん。
香港ノアールのコミックスだー。

……だめじゃん(笑)。


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というわけで、今回のreviewは今さらですが…、

「レディ・ジョーカー」高村薫
重厚な読み応えのある作品である。
それぞれの組織のそれぞれの論理と、
事件に関わる個々の事情が錯綜し絡み合いながら、
社会の有り様を破綻することなく描ききっている。
でも、なによりも注目すべきは……

これって、JUNEだったのね←きゃーっ、殴っちゃやーよ。

栗本薫さんはその道の方だからともかく、
篠田真由美さんといい、高村薫さんといい、
デビュー当初は一般作品を書いている方だと思っていた作家さんが、
さり気なくJUNEちっくな作品を書いていて、ときどき驚かされる。

殿方の中に「男心に男が惚れた」的因子をかぎつけるのは、
女性作家特有の視点なのかも…なんて考えたり。
でも、池波正太郎氏をはじめ、大沢在昌さんとか馳星周さんとか、
男性作家も結構書いているのだけどね。
ただ、JUNEの視点から言えば、
意外なことに男性作家さんの方が言い訳がましくなく、
さらりと描いているような気がする。


*ここの本の感想は一口メモ程度。詳しい感想はreviewへどうぞ。
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by sumika_meimu | 2005-09-24 23:42 | 快楽読書小倶楽部

「天地に愧じず」「紅薔薇」な「源氏物語」…って、なに?

ここの本の感想は一口メモ程度。詳しい感想はreviewへどうぞ。

「天地に愧じず-御算用日記」六道 慧
並外れた着道楽と食いしん坊の2人の姉の借金のために、
幕府御算用者になる羽目になった生田数之進くんの2作目。
しかし、本人に悲壮感はなく、どこか長閑な性格なので活躍ぶりもほんわか楽しい。

「紅薔薇伝綺-竜の黙示録」篠田真由美
『龍の黙示録』シリーズ5作目は13世紀イタリアが舞台。
龍緋比古と修道士セバスティアーノ……2人の間に流れる、
この妙に熱っぽい空気はなんだろう――妖しい(笑)。

「Gen-『源氏物語』秘録」井沢元彦
井沢氏お得意の歴史分析と推理小説を合体させた歴史ミステリ。
歴史ものが好きな人なら、きっとわくわくするんじゃないかな。
井沢氏の歴史ミステリは、作者の考察がしっかりこなれていて、
何度となく読み返せる作品が多いので、結構好き♪
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by sumika_meimu | 2005-09-19 23:15 | 快楽読書小倶楽部