哀愁のハードボイルド―サム・リーヴズ

HPでは、今まで何冊かまとめてレビューしていたのだけど、
それだと更新スピードが遅くなってしまうことに気づいて(今頃?)、
最近は少しずつ(1冊ずつ)でもUPするようにしています。
「おおっ進歩だ!」と自画自賛(うふっ)。


「長く冷たい秋」「雨のやまない夜」「春までの深い闇」「過ぎゆく夏の別れ」
サム・リーヴズ/ハヤカワ・ミステリ文庫

何年かぶりに再読したので、今回は4作品まとめてのシリーズ評。
ベトナムの帰還兵で、タクシードライバーを主人公とするハードボイルド。

主人公のクーパー・マクリーシュはシカゴのタクシードライバー。
恋人のダイアナには、学歴があるのだからリスクの多い運転手などやめて、と言われつつ、
人間関係人がうまく築くことができない彼は運転手にこだわる。
血の気は多いが、人生の途中で立ちすくんでしまった、悲哀を滲ませた中年男は、
ハードボイルドでは定番のキャラクターだが、
その性格設定や清新な印象を残す、独特の雰囲気がいい。
事件に巻き込まれ、身も心も傷つきながらも解決していく様子が一作毎に展開していく。

クーパーはベトナムで嫌というほど死を間近に見たせいで、生き方は屈折している。
自虐的な一面を抱えながらも、彼の人間的な優しさが魅力的だ。
女性をターゲットにしたようなシリーズタイトルで、私も乗せられて買った口だけど、
でも、彼の優しさは、当事者(特に恋人)には伝わりにくい優しさなんじゃないかな。
男が示す優しさと、女が求める優しさには、ギャップがあるということね。

推理部分の展開はちょっと甘さを感じるが、心情的な語り口と叙情的描写、
じっくりと書き込まれた人間関係などで、味わい深い作品になっている。
父と子との物語でもあり、心に傷を持つ人間同士の絆を描いた作品としてもお薦め。



*ここの本の感想は一口メモ程度。
詳しい書評は【快楽読書倶楽部】>【快楽読書倶楽部】へどうぞ。
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by sumika_meimu | 2006-02-22 19:14 | 快楽読書小倶楽部
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